生前贈与と贈与税

生前贈与と贈与税

生前贈与の注意点

生前整理

不動産の生前贈与を検討される場合、贈与税をまず検討されるかと思いますが、それ以外にも金銭の贈与には必要のない、「登録免許税」や「不動産取得税」という税金が課税されます。

 

 また、贈与税も将来の相続で引き継ぐよりも税率が上がりますので、それらも含めた上で総合的に検討をする必要があります。

相続、贈与、遺贈に適用される税制の違い

 

登録免許税について

 不動産の名義を変更する時に必要な税金で、相続で引き継いだ場合の税率は0.4%ですが、生前贈与の場合は2%となります。

 

不動産取得税について

 売買や贈与などで不動産を取得した方が支払う税金で、相続で引き継いだ場合には課税されませんが、生前贈与の場合は3%(宅地評価土地は1.5%への負担調整あり)必要になります。

 

金銭の生前贈与

 金銭の生前贈与をする場合に、贈与をうける方(もらった方)名義の口座に定期的に振込をしている、という状態のままですと、贈与自体の成立が認められず、「口座の名義人が違うだけで、ご自身の財産である」という指摘をされる場合があります。

 

 それが、「名義預金」と呼ばれるもので、本人の財産が名義だけを変えて存在している、という評価をされますと、将来の相続における相続財産としてみなされる可能性があります。


贈与税について

贈与税

よくあるお問い合わせですが、贈与税は財産をあげた方ではなく、もらった方に課税される税金です。
 この為、税務署への申告・納税をする義務があるのは、”財産を受け取った方”になります。

 

 その税率には2種類あって、20歳以上の子や孫などへの贈与は「特別税率」となり、それ以外の方に贈与する場合は「一般税率」の適用となります。

 

 ただし、贈与税には基礎控除額がありますので、その範囲内の贈与であれば、贈与税は課税されず申告の必要もありません。
○贈与税の基礎控除=年間110万円
(もらった方一人あたり)

 

 “もらった方一人あたり”とは、小額の贈与を複数の方から受けていた場合、もらった額の合計が年間110万円を超えた場合は贈与税が課税される、という意味です。

 

 また、不動産を時価よりも低廉な金額で売買した場合や、債務を代わりに支払った場合などは、たとえ親子間であっても、その差額が贈与とみなされ、贈与税が課税される場合もありますので、注意が必要です。

 

○贈与税率表

 

◆贈与税の具体的算出例
子(20歳)へ500万円の贈与

 

@基礎控除額を引く
 500万円-110万円=390万円
A税率を掛ける
 390万円×20%=78万円
B控除額を差し引く
 78万円-30万円=48万円
 ⇒贈与税額は48万円


贈与税における控除など

贈与税には、基礎控除に加えて、下記の様な控除や非課税制度があります。

配偶者控除

(同一配偶者からは1度のみ)
 婚姻期間が20年以上の夫婦間において、居住用不動産又はその取得の為の金銭を贈与し、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その居住用不動産に居住して、その後も引き続き居住する見込みの場合、基礎控除額110万円に加えて、更に2,000万円まで贈与税が控除されます。

 

住宅取得等資金の非課税制度

 両親、祖父母などから子・孫(20歳以上)の為に、住宅取得資金として金銭の贈与を受けた場合、その取得した住宅の性能に応じて、最大1,500万円まで非課税となります。

 

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度

 両親、祖父母などから子・孫(30歳未満)の為に、金銭で贈与するなどして、教育資金として金融機関で専用口座を開設した場合、1,500万円まで非課税となります。

 

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度

 両親、祖父母などから子・孫(20歳以上50歳未満)の為に、金銭で贈与するなどして、結婚・子育て資金として金融機関で専用口座を開設した場合、1,000万まで非課税となります。

 

 この他、60歳以上の両親・祖父母から、20歳以上の子や孫への贈与につきまして、2,500万円まで特別控除額がある「相続時精算課税」という制度を選択することも出来ます。

 

 この制度は、贈与した金銭の用途を問わず利用出来ますが、一度制度を利用しますと、以後、同じ方からの贈与には、年間110万円の基礎控除額は適用されなくなり、その全てを申告・納税(税率は一律20%)する必要がありますので、注意が必要です。