終活とは何を指すのでしょうか

「終活」とは何をすることを指すのでしょうか

 

 「終活」と聞きますと、一昔前までは「亡くなる準備」という風にとらえる方が多かったかもしれませんが、今日ではテレビや雑誌、インターネットでも多く取り上げれており、また、その必要性を認識される方も増えつつありますので、そのような捉え方をされる方も少なくなっているのではないでしょうか。

 

 万一の為の備え、というところですと、「保険」も同じ考え方になるのではないかと思われます。

 

 例えば、生命保険に加入される際には、ご自身に万一があった場合に備えて加入されるのであって、万一の時が近づいている、という認識で入られる方は、あまりおられないと思いますし、入院保険やがん保険の場合でも、同様ではないでしょうか。 

 

 「終活」という文字にある、「終」わりの印象ではなく、「万一の為の備え」という、認識でおられる方が少しずつ増えて、特別なものという意識をもたれる方が少なくなってきている、という感じなのかもしれません。

 

 ただ、万一の備えとしての終活をしておいた方がよい、という認識の方でも、「一体どのような事をすれば、自分には一番よいのか」という、ご相談を受けることは多くあります。

 

 現在の状況、ご家族の構成や関係性、経済状況やお体の調子など、すべてが人によって違いますので、どのような終活が自分にとって一番よいのか、というところは当然人によって異なると思われます。

 

 「これをする事が終活」という、決まった定義はありませんが、もし何か具体的な事をされなくても、ご自身の考えや将来への希望を整理し、遺されるご家族さまにご自身の意思表示をしておくという事は、いろいろな意義があります。

 

 まずは、ご自身が前向きになれる、という事があげられます。
 私も、相談会などで終活のご相談をいただくことがありますが、暗い内容でお話しになる方よりは、何かすっきりされている方が多いように思います。

 

 それは、ご相談に来られる時点で、すでにご自身でもいろいろとお考えになっておられるからだと思いますし、明確な答えの様なものが出ていなくても、ご自身のお考えが少し整理されているからではないでしょうか。

 

 また、終活でご自身の財産の引き継ぎ方を考えておかれますと、将来の相続で遺されたご家族さまが揉めないで済む、という事も言えます。
 相続で揉める場合の多くは、遺言など亡くなられた方の意思を示すものが無く、更に相続人となる方(時にはその親族となる方も加わって)同士で、お考えや認識の違いが生じており、話し合いがうまくいかないケースが多いからです。

 

 明確な定義がない分、「ご自身とご家族についてお考えになる時点でも終活になる」、とも言われます。
 どのようにすればいいのか、と迷われている方は、まずご自身とご家族のこれからを想像することから、始めるとよいのかもしれません。

 

 一般的に行われているところですと、次のような事があげられます。

 ・エンディングノート、遺言書をつくる
 ・相続について考える(生前贈与や財産の処分など)
 ・葬儀やお墓の事を考える
 ・将来の介護、財産の管理をどのようにするのか考える ・・・など、

 

 また、「おひとりさま」「おふたりさま」と呼ばれる方の場合、病院に入院したり、施設などに入所したりする際に、身元引き受け人やその費用の支払いをどうするか、などということも考えられているところになります。   

 

 『相続まちの相談室』では、これまで各地で無料相談会を行っておりまして、いろいろな方からお声を伺わせていただきました。
 最近では、「終活」に関するお問い合わせも多くいただきますが、「どこに相談すればよいのか、わからない」というお声も耳に致します。

 

 これまで、多くの方より伺わせていただいた声を活かして、「終活」に関するお手伝いを通しまして、“今を生きる”という事について、ご相談者さまとご一緒に考えていければ、と思っております。

 

エンディングノートと遺言書の違い

 

 エンディングノートは、書店でもかなりの種類がありますし、インターネットで検索しても多くのひな型が出ております。
 これは、遺言書につきましても同様です。
 お問い合わせをいただく事もありますが、具体的にはどのように違うのでしょうか。

 

 まず、エンディングノートは、ご自身の人生を過去から含めて振り返り、将来に向けてのお考えを整理をする為に用いたり、終末期や亡くなった後における、ご自身の希望などを綴ったりするものです。
 ご自身の個性とお考えをまとめることが出来ますし、具体的な希望も自由に綴っておくことが出来ます。

 

 ですが、遺されたご家族さまに様々な想いを伝えることは出来ますが、その内容につきましては、法的な拘束力はありません。
 「私が亡くなったら○○して欲しい」とか、「財産は△△に遺したい」という事が記載されていても、それはあくまでご本人の希望に過ぎません。

 

 一方で遺言書は、エンディングノートと同様、ご自身に万一があった場合の事を遺すものですが、その内容には、法的拘束力があります。
 しかし、「遺言書」というタイトルにしておけば、どのような内容が記載してあっても、それがすべて法的拘束力をもつ、というものではなく、民法でその内容が明文で規定されているものに限り、法的拘束力をもつと解釈されております。

 

 民法で規定のある事項は、次の通りとなります。

 ・相続に関する事項
   相続の内容や、その分割や処分方法など
   (遺言執行者の指定も該当します)
 ・相続以外の財産の処分
   遺贈や信託の設定など
   (新たに設定された「配偶者居住権」も遺贈でます)
 ・身分に関する事項
   認知や未成年後見人の指定など
 ・遺言でしか、なし得ない行為(明文の規定がないもの)
   特別受益の持ち戻しの免除
   祭祀承継者の指定  など 

 

 「特別受益の持ち戻し」とは、遺言者さまが生前に援助(贈与)をした財産について、「将来の相続において、相続財産に含めないでほしい」という意思表示をした事をさします。
 本来は、生前の援助(贈与)を「相続財産の前渡し」として、相続の時に死亡時の相続財産に加えることで、他の相続人の方々との公平を保つのですが、その意思表示によりまして、それを含めないで相続をするという事になります。

 

 このように、エンディングノートと遺言書は、つくられた方の想いが形になったものとして、どちらも大切な意思表示の一つの手段ですが、そのもたらす効果には違いがありますので、「終活としてどちらの方がよい」というものではなく、全く別なものだと考えた方がよいのではないでしょうか。

 

葬儀や墓地・お墓について考えてみる

 

 最近のいわゆる「終活」におきましては、ご自身の葬儀やお墓について、あらかじめ決めておかれる方も増えています。

 

○葬儀方法について
 近年の葬儀には様々なものがあり、その種類もかかる費用も大きく違いがあります。
 悩まれる方も多いと聞きますが、流行などに左右されず、ご自身のか考えに叶う、「ご自身が納得したものを選択する」ということが大切になるかと思われます。

 

 これまでの「一般葬」に加えて、最近多くなってきたのが「家族葬」と呼ばれるもので、多くの参列者に葬儀・告別式に参列してもらわないで、ご家族やごく親しい方だけで済ませる、というものです。
 費用が抑えられる事に加えて、いろいろな方に参列してもらわない方が、気分的に楽だと思われる方が多くなっていることもあるようです。

 

 また、告別式と火葬を1日で行う「1日葬」、樹木葬や海洋散骨などの「自然葬」も増えつつありますし、お別れ会の様な、堅苦しいくないものをイメージした方法もあります。

 

 これらに必要な費用や参列される方の規模などについて、ご自身ならどのように考えるのか、という時間をつくるのも終活のひとつだと思いますし、事前に見学や体験をするイベントに参加する方や、早目に葬儀の契約をされる方もおられます。

 

 葬儀方法を決めておく、という事は、ご自身がどのようにおくってほしいのか、という希望だけではなく、遺されたご家族に費用などの点でもご心配を掛けない、という役割もあります。

 

○墓地の種類について
 墓地には、大きく分けて次のような種類があります。
・一般墓地
 都道府県や市町村など、公共団体が運営している墓地で、宗派などの宗教的制約があまりないところが多いですが、人気の地域は抽選になる場合もあり、住所地による申込制限や、お墓の形状に制約があるところもあります。
・民間墓地
 宗教団体や公益法人などの委託を受けた、民間企業が運営している墓地で、購入に際しての制限は少ないところが多いですが、料金は地域や区画によってかなりの幅があり、希望通りの地域や区画が求められない場合もあります。

 

・寺院墓地
 寺院が管理運営している墓地(檀家専用の場合が多い)で、宗派や墓石の購入を制約して、提携先でしか購入できない規定にしているところや、近年話題になっている“墓じまい”におきまして、離壇料を請求するところもあり、高額なケースでは問題となっている場合もあります。

 

・共同墓地
 地域の団体で共同管理している墓地で、区画が整理されず、そのまま墓地の敷地が広がったところも多くあります。
 1つの墓石で複数の遺骨が安置されている場合もあります。

 

 墓石や墓石を購入されるにあたっては、ご自身が入るべき墓地や墓石が無く、どうしようかとお悩みの方も多くおられます。
 また、そのお墓を誰が守っていってくれるのか、というところにおきましては、それぞれの方で事情が異なりますし、今日、「墓じまい」という言葉もよく聞かれますが、これは実家のお墓が遠くてなかなか行くことが出来ない、お墓を参る方そのものがおられなくなってきた、という、現代の生活状況の影響を受けて生まれた行動をさす言葉です。

 

 どのような立派なお墓を建てられた場合でも、それを守っていくのは遺された方々ですので、遠くにお住まいであったり、核家族化がすすんでいると言われる現代では、墓石や墓地にあまり費用を掛けたくない、という方もおられます。

 

 ご自身のご希望やお考えははもちろん大切ですが、それをどのように守っていく(守っていってもらう)のか、というところも、併せて考えなければならない時代なっているのかもしれません。

 

 
相続へのご対応について 費用について お問い合わせ