相続税とは

 

ご自身に万一があった場合、自分の財産に相続税が課税されるかどうか、という事はよくお問い合わせをいただくお話です。
 自分の財産なら心配ないよ、と笑っている方もおられるかもしれませんが、相続税の申告が必要となる方の中には、預貯金を多くお持ちの方という訳ではありません。

 

 例えば、田畑など先祖代々の土地をお持ちの方も、該当する場合があります。
 一般的に、田畑や山林は個々の固定資産税の評価額が低い為、大した財産ではないと思われる方もおられますが、相続税の課税を検討する場合におきましては、田畑や山林は、「倍率評価」という方式で算定する事になりますので、固定資産税にその倍率を掛けたものが、評価額としてみなされます。
 この為、固定資産税評価額の数倍の金額で評価をされる事になり、それら全体としては、思わぬ評価額になるという場合があります。

 

 相続税が課税されるかどうかを検討するには、まず相続税の基礎控除額を確認する事から始まります。
 この基礎控除額は、財産を遺された方の相続開始時(亡くなった時点)におきまして、相続人となる方が何人おられるかで控除額が変わりまして、相続人となる方が多い方程、控除額が多くなる仕組みとなっております。
 相続財産が基礎控除額より少ない場合には、相続税は課税されず、税務署への申告も不要です。

○相続税の基礎控除額
 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

※相続税の基礎控除額の算定における法定相続人には、相続放棄をした方、養子も含まれます。
 但し、養子を含められるのは、実子のおられる方は1人、実子のおられない方は2人までとなります。

 

 相続税の課税対象となる財産は、次の通りです。
@亡くなった時点の所有財産
・不動産(土地・建物)
 土地は「路線価」又は「倍率評価」で算出
 建物は「固定資産税評価額」と同じ
・預貯金
・現金
・有価証券
・その他金銭に換価出来るもの全て
※なお、預貯金につきましては、他の方のお名前の預金口座であっても、亡くなられた方が入金やその管理をしておられた場合、名義預金として、亡くなった方の固有財産とみなされる場合があります。

 

Aみなし相続財産(死亡によって支払われる生命保険金や退職金など)
 注意が必要なのは、これらは相続税の課税対象財産に含まれますが、相続の協議において、亡くなった方の財産の引き継ぎを検討する中には含まれない、という事です。

 

 例えば、生命保険金や退職金の受取人が相続人であった場合、それらは死亡を原因として発生する金銭ですが、原則として受取人の固有財産とみなされます。
 この為、亡くなった方の相続の協議において、それを相続財産に含める必要はないという事になり、あくまで相続税の課税対象財産になるというだけです。

 

 ただし、下記の範囲内までは控除があります。 
⇒生命保険・退職金控除=500万円×法定相続人の数

 

B亡くなる3年以内に行われた贈与
 亡くなられた方からの贈与(生前贈与)につきましては、亡くなられる3年以内のものは相続税の課税対象財産となります。
 もし、贈与を受けられた方が、贈与時に贈与税を申告しておられた場合は、その納税額は相続税より差し引く事が出来ますので、二重払いになる心配はありません。

 

 ただし、「相続時精算課税」の制度を利用して取得した財産につきましては、何年前の贈与であっても、相続税の課税価格に加える必要があります。

 

◆相続税の課税対象財産から控除できるもの
・亡くなられた方の債務
・葬儀費用 など、

 

 

○相 続 税 率 表

法定相続分に応ずる取得額
(基礎控除額の控除後)

税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

○相続税額の算出方法
@基礎控除額を超えた、課税相続財産を法定相続の割合であん分します。
Aその金額に上の税率をそれぞれ掛けて、控除額がある場合はそれを引きます。
Bそれらの合計金額が、相続税の総額となります。
C相続税の総額を、実際に相続する割合であん分したものが、各相続人さまの具体的な課税額となります。

 


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相続税における控除や加算など

 

○配偶者の税額軽減
 次のいずれかの場合、配偶者に相続税は課税されません。
@法定相続の割合通りで相続
A相続した額が1億6千万円まで
 ただし、この制度を用いて配偶者に多く財産を引き継がれた場合、その時には相続税が課税される可能性が低くする(あるいは無くす)ことが出来ますが、将来その配偶者が亡くなった場合(いわゆる2次相続)におきまして、相続税が課税される可能性がありますので、相続の協議をされる場合は、それもふまえた検討をする必要があります。

○小規模宅地等への特例
 亡くなった方の配偶者や同居をされたいたご家族などが、引き続き居住する為にご自宅を引き継いだ場合、その宅地の評価額を80%減額して計上できます。

 

 例えば、引き継いだ宅地の評価額が5,000万円の場合、1,000万円として計上する事が出来ます。

○未成年者控除
 相続や遺贈で財産を取得した方が、満20歳以下の相続人である場合には、その方の相続税額が下記で算出される分だけ控除されます。
・10万円×(20歳−相続開始時の年齢) 
(1年未満は1年とします)

 

 また、これにより控除される額が、その方の相続税額全体を超える場合には、その超えた額を、未成年者の扶養義務者の納税額より控除することが出来ます。

○障がい者控除
 相続や遺贈などで財産を取得した方が、 障がい者で、かつ相続人である場合には、その方の相続税額が下記で算出される分だけ控除されます。
・10万円×(85歳−相続開始時の年齢) 
(1年未満は1年とします)

 

 また、これにより控除される額が、その方の相続税額全体を超える場合には、その超えた額を、障がい者の方の扶養義務者の納税額より控除することが出来ます。

○相続税額の2割加算
 相続や遺贈などで財産を取得した方が、亡くなった方の1親等の血族(子や両親)及び配偶者以外の方の場合、その方の相続税額が2割加算されます。

 

 また、養子も実子と同じ扱いとなりますので、2割加算の対象にはなりませんが、孫を養子にした場合には、2割加算の対象になりますので、注意が必要です。

 

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「相続税対策」と「相続対策」の違い

 

 「相続税対策」とは、将来、ご自身の財産に相続税のご心配がある場合の対策をさし、「相続対策」とは、相続での争いにならない様に、誰にどのように財産を引き継いでもらうのか、という事を考えておく事をさします。
 両者は似ているようですが、異なるものとして別々にお考えいただいた方が適切です。

 

 相続税対策は、将来の相続税の課税対策ですので、基本的にはご自身のお手持ちの財産を減らす事によって、課税される財産を減らす、という事が基本となります。
 一方で、相続対策は「争族」にならない様にする為のものですので、ご家族の関係性やお考えによっても大きく事なりますし、金額の多い少ないでその必要性が変わるものではありません。 

 

 主な相続税対策としては、次のものがあります。
@贈与(生前贈与)を行う
 贈与をするという事は、ご自身の財産が贈与をされた方に移る事になりますので、相続財産が減る事になります。
 ただ、贈与には贈与税が課税される場合もありますので、相続税対策としての贈与は、ある程度計画的に行う必要もあります。

 

A保険への加入
 財産を引き継いで欲しい方を受取人として保険に加入し、保険料をご本人が負担する事でお手持ちの金銭を少しずつ減らす、というものです。
 祖父母から孫へという、将来の学資保険の贈与として行われる事も多く、それらは金融機関でも様々な商品が販売されていますし、こちらに関しましては、一定の要件があるものの、専用口座を設ける事で1,500万円までの贈与が非課税となる制度もあります。

 

 この他、生命保険に加入して、その保険料をご本人が負担するという事も行われております。
 将来の生命保険金に関しましては、相続財産として相続人が協議するのではなく、原則として受取人の固有財産としてみなされます。
 また、生命保険金に関しましては、法定相続人1人あたり500万円まで、相続税の非課税限度額もあります。

 

B不動産に対する投資
 相続税評価における不動産につきましては、実勢の相場価格よりも低い評価額となる事から、現金や預貯金で遺されるよりも不動産に対する投資を行うというものです。
 また、土地は更地の状態よりも、建物が建っていた方が土地の評価は低くなる事から、賃貸物件の建築や借地としての貸し出しなどをされる方もおられます。

 

 これらにつきましては、様々なリスクも伴いますので、相続税対策として効果が出るのかどうかは、一概に言えません。
 主なリスクには、次のものがあります。
1)賃貸住居の空室
 空き部屋による賃料の減収 
2)現金化の流動性
 必要時でも、すぐ現金化しづらい
3)災害による滅失・倒壊
 事前の対策が困難な場合が多い
4)維持管理のコスト
 設備機器など消耗品の交換費用、古くなった建物の維持費や解体費用

 

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