不動産の相続税評価額
不動産を相続税評価に換算する
不動産の相続税評価額を算出する場合、土地と建物を分けて考える必要があります。
建物は、「固定資産税評価額」と同じ金額となります。
固定資産税評価額とは、毎年4月頃に市町村役場から送付される、「固定資産税納税通知書」に記載されている評価額です。
土地は、「路線価方式」という評価と「倍率方式」という評価で算出することになります。
まず路線価の有無を確認してから、路線価がない場合に倍率方式を用いるという順序となります。
路線価方式による算出
路線価とは、国税庁の定めている評価額で、道路に面している宅地1uあたりの評価額をさし、その評価額に所有する宅地の面積を掛けることで、宅地全体の評価額を算出する評価方法です。
この評価方式は宅地に用いられますが、全ての宅地に路線価が定められている訳ではありません。
また、路線価は、国土交通省の定めている「公示価格」に対しまして、おおよそ80%にあたる価額とされております。
「倍率方式」による算出
倍率方式は、路線価が定められていない宅地や、宅地以外の土地に対して用いる評価方式で、固定資産税評価額にこの倍率を掛けたものが、その土地の評価額となります。
田畑や山林など、固定資産税評価額では評価額が少ないものも、倍率を掛けることで価額が大きくなりますので、注意が必要です。
路線価の算出
路線価算出の具体的な計算式
路線価評価額
=路線価×奥行価格補正率×宅地面積
奥行補正率とは、土地の奥行が短い(普通住宅地で10m未満)、長い(普通住宅地で24m以上)という場合において、評価を調整する為に掛けられる数値で、普通住宅地では0.8〜1.0の数値が入ります。
補正率には、この他に角地などで2面が道路に面している時に用いる「側方路線影響加算率」や、表と裏などで2面が道路に面している時に用いる「二方路線影響加算率」などがありますが、ここでは省略致します。
○路線価の確認
路線価の有無と倍率表については、どちらも国税庁のホームページより確認出来ます。
○路線価図の見方
サンプルは福井県坂井市坂井町という地域です
路線価図上の道路部分に「14G」、「16G」など、数字とアルファベットが記載されている道路があります。
これが路線価評価となり、1uあたりの評価額(単位は千円)を示しています。(下図の○印部分です)
例えば、宅地が「16G」の道路に面していれば、1uあたり16,000円の評価ということになり、宅地の面積が100uで補正などが無いと仮定致しますと、この宅地の路線価評価額は次の通りとなります。
16,000円×100u=1,600,000円
倍率方式の算出
倍率方式の具体的な計算式
倍率方式評価額
=固定資産税評価額×倍率
○倍率表の見方(宅地の場合)
倍率表には、固定資産税評価額に対する倍率が記載されています。
こちらの地域の宅地の評価額は、坂井町朝日1〜8丁目の地域はすべて路線価であることことを示し、坂井町今井、大味の各地域では、固定資産税評価額×1.1倍して評価額を求めるということになります。
なお、マンションの場合も考え方は同じです。
マンションの場合、各部屋の所有者が敷地全体を共有しておりますが、それぞれの部屋の所有者の方が、全体のうち自分がどれだけ所有しているかを示す「敷地権の割合」というものがあります。
その割合は登記簿に記載されておりますので、マンションの敷地全体の評価額を算出して、その金額に敷地権の割合を掛けると、そのマンションの評価額を算出することが出来ます。
○倍率表の見方(宅地以外)
坂井町今井は全地域同じで、「田」は純農地で固定資産税評価額×4.5倍、「畑」は同×7.0倍となります。
坂井町大味では、農業振興地域内の農用地区域では、「田」が同×4.8倍、「畑」は同×6.9倍となり、それ以外の地域は中間農地で、「田」が同×10倍、「畑」が同×15倍ということになります。
また、「農業振興区域かどうか」は、市町村が個別に判断しておりますので、市役所及び町村役場の農業政策を担当している部署に問い合わせをする必要があります。