「終活=死に支度」という風にとらえる方もおられるかもしれませんが、近年は「死」は誰もが避けることが出来ないものなら、それについて考えることは特別なことではないとお考えの方も多くなっている様に思われます。
「何をすればいいのか?」というご質問をいただくこともありますが、まずは将来に対する考えや不安点などを整理し、ご自身やご家族のこれからを想像することが、ご自身なりの終活を考える上で、大切なところになる様に思われます。
すべての人は、「他の誰とも同じではない」のですから、終活の方法や考え方も違って当たり前です。
“もし、今自分が亡くなったら?”を想像してみて下さい。
ご自身が心配になること、ご家族や周りの方が困ること、争いの原因になる様なことは、ないでしょうか?
何かが「先送り」されてしまう様なことには、ならないでしょうか?
もし、何か思い浮かぶ様なことがあれば、それについて「ご自身なりに具体的行動をする」ことが、その方にとっての終活になるのではないかと思います。
・・など、
「おひとりさま」「おふたりさま」と呼ばれる方々の場合、次の様なことが懸念されるかと思われます。
お子様がおられない方でも、近くにきょうだいや甥姪、その他の親族に様々なことを相談出来る方もおられますが、ご自身の今後のことまでお願い出来る様な方は少ない様にも思われます。
もし、親族に相談する方がいない場合、地域包括支援センターの方やケアマネジャーなど、行政や福祉関係者の方に相談が出来るのであれば、そちらから誰かをご紹介いただける場合もあります。
ご自身だけで何とかしようと考え過ぎず、まずはご自身が気軽に相談出来る方を見つけることが、第一歩となるのではないでしょうか。
そして、もし第三者の方に後見人という形で様々なことをお任せ出来るならば、日常生活や身元保証人などのご相談も出来ますし、ご自身に万一があった場合の手続きなどについても、お任せすることが出来ます。
一般的に、おひとりさま等の方が公的な制度等を用いる場合、「遺言」「任意後見契約」「死後事務委任契約」が、おひとりさま3点セット(「家族信託」を含めて4点セットとも)として、備えられております。
エンディングノートは、ご自身の人生を振り返り、将来に向けての考えを整理し、終末期や亡くなった際のご自身の希望などを綴ったりするものです。
その他、デジタル遺産(パソコンやスマホで取引して紙媒体の明細などが無い、ネット銀行や定期購入品等)へのIDや暗証番号、パスワード、連絡をして欲しい友人・知人を記すという役割もあり、忘備録としての役割や具体的なご希望など、自由に記述することが出来ます。
遺されたご家族に様々な想いを伝えることは出来ますが、その内容については法的な拘束力はありません。
この点について、遺言には法的拘束力がありますので、大きな違いとなります。
どちらもつくられた方の想いが形になったもので、大切な意思表示の手段の一つですが、そのもたらす効果は異なります。
近年、ご自身の葬儀やお墓について、見学会や体験イベントに参加する方、先に葬儀の契約をされる方も増えておりますが、「費用を抑えたい」「簡素に済ませたい」と考えられる方も増えてきたという背景もあり、葬儀や納骨の方式には様々なものが登場しております。
葬儀や通夜などの儀式そのものを行わず、すぐに火葬を行うもの
ご家族やごく親しい方だけで葬儀・お通夜を執り行うもの
告別式と火葬を1日で行うもの
葬儀という形式を崩し、堅苦しいくないイメージにしたもの
これまでは、寺院等に墓地を購入してお墓を建てることが一般的でしたが、近年はお墓の管理等の問題から、供養塔、納骨堂、樹木葬等、個別の墓標を設けずに他の方々と合祀をしてもらい、永代供養とする形式も珍しくありません。
費用は様々ではありますが、民間の寺院等ではなく行政が管理者となっているものもあり、費用が抑えられていることが多い為、そちらの方を選ばれる方も増えてきております。
立派なお墓であっても、それを守っていくのは遺された方々となりますので、遠方の為負担になっていたり、次の世代の方がいなかったりと、少子化の現代における理由から、墓じまいや改葬を検討する方も増えております。
今あるお墓を撤去して使用権を管理者に返し、お骨を合祀する等して個別の墓標を無くすこと
お墓にあるお骨を別のお墓、納骨堂等へ移すこと
改葬という「お墓の引越し」手続きの一部に墓じまいという形態があり、両者は少し異なります。
なお、お骨を移動させる場合には、新しくお骨を納めるお墓等の管理者に対し、改葬許可書を提出する必要があります。
もし、墓じまいという形式をとられた場合であっても、お骨の移動を伴うことになりますので、原則として改葬許可書の取得が必要となります。
※寺院の場合、檀家を離れることになる為、離檀料や墓石撤去費用等を求められる場合がある