公正証書遺言を作成するには
公正証書遺言を作成するおおよその流れは、下記の通りとなります。
@遺言者さまの財産、推定相続人の調査
財産、推定相続人の続柄を証明する戸籍謄本が必要となります。
主な必要書類は下記の通りです。
1、戸籍謄本(現在戸籍、改製原戸籍)
2、除籍謄本
遺言者さまの出生〜現在まで
3、住民票
4、土地・家屋名寄帳兼課税台帳(写)
5、登記簿謄本(土地、建物)
6、預貯金がわかるもの
7、株式、有価証券など
8、印鑑証明書
A証明書類を公証役場へ提出し、公証人と打ち合わせ
ここで公正証書遺言の原案を作成します。
B遺言内容の決定後、再度訪問して公正証書遺言書を作成
この時に、遺言者さま以外に証人が2名必要です。
(未成年者や推定相続人、受遺者及びその配偶者などは証人になれません)
ご注意していただきたいのは、公正証書遺言作成における証人に対しては、秘密を保持する義務は無いという事です。
公正証書遺言が、正しい手続きに従って作成されたことを証明する方ですので、借金の保証人のような責任を負う役割もありません。
ご自身の財産に関わる事ですので、お知り合いやご近所の方にちょっとお願いする、という訳にもいかないと思われますし、秘密の保持を義務付けられている専門家に依頼するという事も重要だと思われます。
資料の収集がなぜ必要なのか
まず、遺言者さまの戸籍を調査する理由は、遺言者さまの出生〜現在までを遡ることによりまして、推定相続人が確定するからです。
配偶者と子供がおられる場合はわかりやすいですが、独身の方、子供がいない方は、遺言者さまの両親まで遡って戸籍の調査をする必要があります。
また、推定相続人が確定しますと、法定相続分、遺留分(法律でご家族に最低限これだけは遺す、ということを規定した割合です)の金額が正確に把握できますし、推定相続人の戸籍を収集することで、推定相続人の生存を確認することができます。
情報化社会の現代におきましては、遺留分を考えない遺言書は、それだけで争いやもめ事の原因のひとつになると言われていますので、よく検討した上で作成することが重要となります。
財産の調査につきましては、預貯金は問題ありませんが、不動産の場合は、所有する持分の中に、公衆用道路と呼ばれる道が入っている場合もありますし、遺言者さまが無価値と思っておられる土地なども、立派な財産ですので、確認して記載する必要があります。
公証人手数料について
公正証書遺言を作成するには、公証人手数料が必要となります。
金額は、証書の目的の価額ごとに下記の表に基づいて算出されます。
また、この手数料は振込ではなく、現金で支払う必要があります。
(公証人手数料令 9条別表)
目 的 の 価 額 |
手 数 料 |
---|---|
〜100万円まで | 5,000円 |
100万円超〜200万円まで | 7,000円 |
200万円超〜500万円まで | 11,000円 |
500万円超〜1,000万円まで | 17,000円 |
1,000万円超〜3,000万円まで | 23,000円 |
3,000万円超〜5,000万円まで | 29,000円 |
5,000万円超〜1億円まで | 43,000円 |
1億円超〜3億円まで | 5,000万円超過ごとに、13,000円加算 |
3億円超〜10億円まで | 5,000万円超過ごとに、11,000円加算 |
10億円超〜 | 5,000万円超過ごとに、8,000円加算 |
これに加えて、「遺言加算」として11,000円が加算されます。(価額が1億円まで)
また、算出不能の財産は価額500万円として算定されます。
遺言者さまが病床におられる場合など、公証人が出張する場合は、病床加算として手数料が×1.5倍となり、加えて日当(4時間まで10,000円、それ以上は20,000円)・交通費(実費)が別途必要となります。
よくある間違いですが、公証人手数料の算出方法は、財産総額では無く、目的の価額ごとに証書を作成しますので、それらの手数料を合算した金額になります。
ですので、同じ価額の財産でも、配偶者のみへ遺す場合と、配偶者と子供達へ遺す場合では、財産の総額は同じでも証書の枚数が変わりますので、手数料に違いが出ることになります。
※公正証書遺言の計算例は、下記の通りです。
・財産総額4,000万円:配偶者のみへ遺す場合
29,000円(配偶者)+11,000円(遺言加算)
=40,000円
・財産総額4,000万円:配偶者と子供2人へ法定相続で遺す場合
23,000円(配偶者)+17,000円×2(子供2人)+11,000円(遺言加算)
=68,000円