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優しい自筆証書遺言書のつくり方

 

相続まちの相談室

 自筆証書遺言書には、内容に制約がないということを他のページでも触れましたが、具体的にどのようにすればいいのでしょうか。

 

 まず、遺言書に記載された方がよいと思われる項目につきまして、簡単にまとめさせていただきした。
 基本的には、ご自身の想いを記載されるのですが、どちらでもとれるような、あいまいな記述をしないという事が重要です。

@以前の遺言書の有無

 以前に遺言書をつくっていた場合や、つくったかどうかはっきりしない場合において、内容が異なっているなどの混乱を防ぐ為です。

A主な財産とそれを引き継いでもらう相続人

「〇〇と△△で2分の1ずつ相続させる」などでは無く、誰にどのようにという事を出来るだけ具体的に記載します。

Bその他の財産の処分

 金銭的価値がないとされるものでも、その処分を誰に任せるかを記載します。

C予備的遺言

 相続させるとした相続人が、ご自身より先に亡くなった場合に備えたものです。

D祭祀承継者の指定

 葬儀内容についての希望や、その支出についてと、以後の法事に関する主催者を指定しておくものです。

E遺言執行者

 遺言書に託されたご自身の想いを、実際に実現してくれる方を指定します。これは相続人さまの誰かでも、信頼できる第三者にお任せされても、どちらでも構いません。

F付言(ふげん)

 遺言者さまが、ご家族に対して感謝や最後の想いを遺されるところです。遺言内容について、「なぜそのような内容にしたのか」という想いを記すだけでも、それを見られた相続人さまのお気持ちは、全く違うものになると思われます。

 

遺言書をつくられる時の注意点

 

 遺言書で指定された内容は、相続人さまで再度の協議をして全員の合意が無い限り、すべての相続人さまに対して有効となります。
 この為、せっかく遺言書を遺されても、あまりに極端な内容であったりしますと、それが原因で揉め事につながる事もあります。

 

 特に注意を要するのは、「遺留分」についてです。
 遺言によって、特定の誰かに財産を多めに引き継いでもらう場合、他の相続人さま(法定相続人といわれます)の遺留分を超えた状態ですと、その相続人さまより遺留分を請求されるということがあります。

 

 遺留分につきまして、今日ではいろいろなメディアや書籍などで取り上げられておりますので、「聞いたことがない」という方も少ない時代ですし、遺言者さまが亡くなってから、相続人さま同士でお金の話が出てくるのは、現代ではある意味仕方がないことかもしれません。

 

 遺留分については、事項以降でご説明させていただいておりますが、その検討の際には、すべての財産を金銭に置き換えられる事が基本的な考え方となります。

 

 不動産の評価につきましては、
 ・公示価格
 ・路線価評価額(公示価格の約80%)
 ・固定資産税評価額(公示価格の約70%)
 などがありますが、通常の場合は固定資産税評価額で計算すればよいかと思われます。
 市町村が算出している明確な額であり、裁判所での調停時にもこちらが用いられております。

 

 もし、不動産を単独で相続されていて、他の相続人さまより遺留分を請求された場合、簡単に分割して渡すという訳にはいきませんし、別途金銭をご用意されても、あくまで不動産を要望されておられる場合、困った事態になってしまいます。

 

 その為、遺留分を考慮しながら遺言書をつくられるということは、とても重要です。

 

遺留分とは

 

 遺留分とは、遺言によっても変える事の出来ない、法律で定められている相続人の最低限の相続割合をさします。
 具体的には、相続が発生した時点(被相続人が亡くなった時点であり、相続手続きをした時ではありません)において、法定相続人がどの方であったかにより、その割合は異なります。
 @配偶者のみ
 A配偶者と子(または子のみ)
 B配偶者と両親・祖父母
 C両親・祖父母のみ

 

遺留分の割合  

@〜Bの遺留分 ⇒全体の2分の1
Cの遺留分   ⇒全体の3分の1
 ※また、兄弟姉妹は法定相続人ですが、遺留分はありません。

 

 遺留分の割合が決まったら、それを法定相続の割合で再計算して、出た数字が各相続人が具体的に相続できる遺留分の割合です。

 

 また、遺留分はその権利があっても、それを主張する(財産をもらう)かどうかは、各相続人さまの自由ですし、何もせずとも勝手にもらえるようになる訳ではありません。
 自分が相続できたであろう割合を、その分多めに相続した方に対して、「私には遺留分があるので、それを差し戻して下さい」と、伝える必要があります。

 

遺留分の具体的割合について

 

 遺留分の割合につきましては、わかりにくい部分もありますので、全体の相続財産を100とした場合の具体例でご説明します。

 

 遺言者=A 配偶者=B 長男=C 長女=D
 遺言内容:「財産は全てBに相続させる」とした場合

 

@遺留分全体の割合は2分の1なので、100を2分の1した、50が遺留分割合となります。
A50を法定相続の割合で再計算すると、
 B=25 C=12.5 D=12.5となります。
 (法定相続は、配偶者が2分の1、子供全体で2分の1です)
BCとDは、それぞれ12.5ずつ遺留分がありますので、それをBに対して請求できる、という事になります。

 

 また、遺留分のイメージとしては、一旦は遺言通りに相続されたものを、遺留分の権利がある方の請求によって、相続された方より戻してもらう、ということになります。

 

 この為、ご自身に遺留分がある場合でも、その請求をされない限り、「相続が開始されて、ご自身に遺留分があることを知った日より1年」、または「相続があった日より10年」で、遺留分を請求できる権利は消滅します。

 

 

 
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