遺言書について
遺言書は個人1人の最後の意思表示となりまので、1つの遺言書の中で、共同でつくることはできません。
特に、不動産がご夫婦2人の名義になっている場合は、同じ内容で遺言したつもりでも、それぞれに遺言書が無いと、遺言書が無い方の不動産は、相続人全員の協議によって分割されることになりますので、注意が必要です。
自由にお使いいただいても問題ありません。遺言書に記載された財産というのは、遺言書作成当時の財産を記載しているだけですので、全く問題ありません。
遺言書の作成時におきまして、預貯金財産は細かい残高まで記載しませんし、極端にいえば使い切ってしまっても大丈夫です。
遺言書を作成されない理由のひとつに、遺言書をつくったらもうその財産は動かせない、と思っておられる方が多いのですが、それは間違いです。
それよりも、遺言書の無い相続の方が、遺された方にとってご負担になる場合が多いと思われます。
遺留分よりも大きな相続割合(遺留分の侵害といいます)の記載された遺言書でも、これが直ちに無効というわけではありません。
遺言書の書式などが、法律上問題なければ遺言書自体は有効となりますが、本来の推定相続人が、その遺言書により相続財産を受け取る方に対し、遺留分を侵害している旨の意思表示することにより、これを差し戻すよう請求(遺留分減殺請求といいます)をすることができます。
この「遺留分減殺請求」は、裁判を起こして請求しなくても、行うことができます。
昔に存在した、財産は家督を継いだ者(主に長男)がすべて相続する、という家督制度ではありませんので、相続分があるならもらいたい、と思われる方が一般的です。この遺留分を意識した遺言書の作成は、円満な相続に必要だと言えます。
ペットロスという言葉があるくらい、現代ではペットは大切なご家族の一員ですので、ご自身が亡きあと、残されたペットの将来を案じるお気持ちは当然のことだと思います。
ただ、相続というのは人間に対してしか規定がありませんので、残念ながらペットに対する思いを、直接遺言などで財産としては遺すことは出来ません。
考えられる主な方法としましては、死後事務委任契約、負担付贈与契約、負担付遺贈をして、他の方に依頼する方法があります。
この中で必要な費用を支払うことを約束し、ペットが不自由なく過ごせるように依頼をするのですが、その思いに沿ったお世話がなされるように、信頼できる方に間違いのない形で依頼することが必要かと思われます。
遺言執行者とは、遺言で遺された亡くなられた方の意思を現実に、実現する方のことです。
遺言者さまが、遺されたご家族のことをどれだけ思って立派な遺言書をつくられても、それを行う人がいなければ何もなりませんし、こればかりは、亡くなられた方が自分で行うことは出来ません。
特に、不動産を相続人以外の方に遺贈する場合、各種団体への寄付をされる場合には、遺言執行者が指定されていない場合、相続人全員の方の承諾がないと権利移転の登記ができませんので、それが新たな争いやもめ事の原因にもなり得ます。
このことからも、遺言書をつくられる際は、遺言執行者を指定しておくことは重要です。